はじめに
スプリントはユーザーストーリーやバク修正をやり切るだけのものではありません。
スプリントが単に目的や方向性がない作業リストをただこなすだけなら良いものを作るのに時間がかかり価値のあるものを生み出すことはできないでしょう。
研究結果から目標(ゴール)の重要性は明確に証明されております。
個人で作業するのとチームで作業するに関わらず人は目標に向かって取り組むと達成しやすく目標自体が明確でやりがいがあり具体的なものであればさらに効果を発揮します。
そのため、スクラムではスプリントという短期間で個人やチームの成果を最大限に発揮させるためにスプリントゴールというものをスプリントプランニングの成果物として用意しています。
スプリントゴールとは?
スプリントゴールはスプリント中に作業を再評価できるほどの柔軟性を持ち、スプリント期間の方向性を提供しゴールに対するベストな成果を出せるようにします。
これはスプリントのWhy(なぜ、何のために)を示しコミットメントと目的を確立します。
明確なゴールを用意することで開発チームがこれから実現しようとていることに対するWHYとWHATのしっかりとした理解した上でスプリント期間中開発を行うことができます。
デイリースクラムなどのイベントで現在実施している内容がゴールから逸れていないかに焦点を当てることで軌道修正を適宜実施することができます。
世の中のほとんどのスプリントゴール効果を発揮できていない
例えばこのような内容をスプリントゴールにしているのをよく見ます。
- 10つのバグを治す
- 7つの関連性のないユーザーストリーを終わらせる
- JIRA上でチームにアサインしている作業を完了させる(これは明らかアジャイルのアンチパターンであり、非効率である)
これらのどれもがチームの方向性を合わせるのに役立ちませんし、チームがなぜ、何のためにこのスプリントに取り組んでいるのか分かりません。
良いゴールの作り方は?
良いゴールはこういう質問に答えることができるものです。
- このスプリントは取り組むための価値は何ですか?
- どんな問題を解決しようとしているのか?
- どんな機能を実装していますか?
- 前提(現状の課題)を明確にしてますか?
スプリントゴールの例
- 問題を解決するため使い勝手や性能を改善しショッピングカートの放置率を50%から30%に減らします。そうすることで売上機会の欠如している問題を解決します。
- 購入者が商品を時間をかけずに見つけやすくするために既存の製品の検索ができるようにフィルター機能を追加する。
- 40ドルを超える注文に対して送料を無料にする。送料無料にすることで人々が一回の買い物で使う金額を増やすという仮説を検証することに役立てる。
スプリントゴールは誰が決めるべきか?
スプリントゴールを作るのはプロダクトオーナーだと思っている人が多いですが実際は違います。
ビジネスやプロダクトの目的を念頭においてスプリントプランニングを行うことは大事ですが、スプリントゴールはプロダクトオーナーと開発チームが議論しながら開発チームがスプリント期間中に何を実現するべきか、何が実現可能かを共有しながらチーム全体で作るものです。
ゴール決めにチーム全体が参加することで一人一人が当事者意識をもち、場合によっては、当初計画以上の成果につながります。
実現可能とはDoneの定義で合意された品質を維持しながら達成できることを示します。

コメント